★コンクリートの防備録★

個人的な防備録が基本になってますので、内容等について間違いがあることを了解下さい。2009.11現在の記録です。
正確な数値や解釈は、コンクリート標準示方書、JASS5、コンクリートライブラリー各本、論文集などで御確認願います。


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材料
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★セメント
◇主な水和反応はケイ酸カルシウムと水酸化カルシウムの生成。
ケイ酸カルシウム水和吾物はエーライト(C3S)、ビーライト(C2S)、アルミネート系(C3A)、フェライト系(C4AF)。
これらの割合が変わるとセメントの性質は変化する。
C3Aの水和反応は早く、C3Sはやや早い。C2Sはゆっくりで発熱も小さい。
水和熱測定はJISによる溶解熱法。
◇セメント水和物のアルカリ性は水酸化カルシウムで決まる。
普通ポルトランドセメントでは、水和物の3割程であり、PH12〜13。
◇中庸熱ポルトランドセメントは、C3Sを50%以下に、C3Aを8%以下として水和熱を抑制する。
水和熱量はσ7で290J/g以下、σ28で340J/g以下に規定されている。
◇低熱ポルトランドセメントは、C2Sを40%以上とし、C3Aを6%以下とする。
水和熱量はσ7で250J/g以下、σ28で290J/g以下に規定されている。設計基準強度の発現材齢は一般にσ91。
◇水酸化カルシウムCa(OH)2は硫酸塩と反応して石膏を生成、この一部がC3Aと反応してエトリンガイトを作って膨張を引き起こす。
◇セメントには、C3Aによる急結を防ぐため石膏が混ぜられている。セメントの種類によってSO3含有量の上限を定め、過多による異常膨張を防いでいる。過小であると異常凝結を生じる。
◇耐硫酸塩ポルトランドセメントはC3Aを4%以下としている。
◇超速硬セメントは活性化させたアルミン酸カルシウム(C11A7・CaF2)の急結性を利用したもの。
σ1で40N/mmを叩き出す。数時間で強度を発現し、最終強度は低くならない。
◇超早強セメントはC3Sを増やすと共に、粉末度を上げて水和反応を早めたもの。高粉末度のため、同一コンシステンシーなら、普通ポルトランドセメントより単位水量が多めになる。
◇エコセメントは廃棄物を利用して製造されたセメント。ゴミ等に含まれる塩素により、普通ポルトランドセメントより塩化物イオンが多い。
JISでは普通エコセメント(脱塩素処理している)に含まれる量を0.1%以下、速硬エコセメントで0.5〜1.5%と規定している。
◇3成分系セメント=マスコンクリートに利用されるもので、ポルトランドセメントと高炉スラグ微粉末とフライアッシュの混合。断熱温度上昇を25℃以下に抑制する目的で使用される。
◇白色セメントは酸化第二鉄(Fe2O3)を少なくしたもの。普通セメントの1割以下。
◇強熱減量=二水石膏の脱水による質量減量を示すもので、数値が大きいとセメントの風化が進んでいる。ポルトランドセメント高炉セメントは3%以下に規定されている。
975±25℃で15分間加熱を繰り返すが、1000℃以上ではアルカリ金属塩の一部が飛んでしまう。
◇BBの高炉スラグ量は質量で40%以上。セメントの水和により生成される水酸化カルシウム(アルカリ雰囲気を作り出す)とスラグが反応するが、温度が低いと反応が遅くなる(高炉スラグの強度発現は温度依存性が高い)。
高炉スラグの粒度により強度発現時期が異なる。6μ以下の粒子は初期強度に寄与する。それより大きいのはσ28以降に効いてくる。
スラグの反応生成物により長期強度は伸びる。
アルカリ成分を高炉スラグが”食べる”ため、アルカリ骨材反応が生じにくくなるが、鉄筋保護のためのアルカリ雰囲気のPHは低くなりやすい。
中性化は普通ポルトランドセメントより早い。収縮しやすい。短所とも言える。
高炉スラグは普通ポルトランドセメントに比べCaOの含有量が少なく強度にも影響を及ぼす。クリンカーから供給することになる。CaOの少なさはアルカリ骨材反応を起こしにくい。
塩化物の浸透抵抗は普通ポルトランドセメントより大きい。また、硫酸塩対する抵抗性が普通ポルトランドセメントより大きいため海水中のコンクリート構造物に向く。
セメント製造における”溶融”工程が無いため、製造におけるCO2排出は少ない。鉄製造の副産物を使う事から資源有効利用にもなる。
高炉スラグの水硬性は1800年代中期に独で確認されている。
◇セメント種類別の中性化率は、普通ポルトランドを基準としておおよそ
普通ポルトランド=1.0とする
早強=1.0以下
フライアッシュ=1.2 普通ポルとほぼ同じ
高炉セメント=1.1〜2.0 中性化しやすい。< /FONT>

★混和材
◇高炉水砕スラグは急冷により非結晶質であるため、水酸化カルシウム等のアルカリの刺激によって水硬性を示す。JISにより塩基度は1.4以上と規定されている。
◇高炉スラグ微粉末は比表面積の大きさにより
4000(3000〜5000cm2/g)
6000(5000〜7000cm2/g)
8000(7000〜10000cm2/g)の種類がある。
高強度・高流動化で6000や8000を使う。平均で0.5%(R2O)のアルカリ分を有するが溶出しにくくアルカリシリカ反応を生じないとされる。
高炉スラグ微粉末をセメントの一部と置換するとポゾラン効果で長期強度は増大し、緻密になる上、乾燥収縮が小さくなる。
ただし、水酸化カルシウムが潜在水硬性で消費されるため中性化は大きくなる。
置換により単位水量が僅かだが減少する。
◇シリカ質やアルミナ質の微粉末が、水酸化カルシウムCa(OH)2と化合して不溶性物質を作るのをポゾラン反応という。
人工物ではシリカヒューム、フライアッシュ、天然物では火山灰やケイ酸白土。
◇フライアッシュ=微粉炭を燃やした時、集塵機で回収される球形の灰。
粒形のためコンクリートに混ぜると、ボールベアリング効果によりワーカビリティーを良くする。
ポゾラン効果がある。
置換により水和熱を下げる。
含有する未燃カーボンにより、空気連行率が下がる。
未燃炭素含有量は強熱減量試験を目安にする。
◇シリカヒューム=シリコン製造電気炉の排気集塵機から回収される極めて微細な残滓。
1μm以下の灰色の球体で平均粒径0.1μm、比表面積20万cm2/g。密度2.1〜2.2。SiO2を80%以上含有する非晶質なポゾラン材料。
セメント粒子より1/100と細かいため隙間を満たしていくマイクロフィラー効果で緻密なコンクリートを作れる。この効果はW/Cが小さくなるほど出る。
長期に強度増進し、水密性、化学抵抗性が高い。水分があった空隙が小さくなるので、自己収縮が大きくなる。輸入品が多く高価である。
◇膨張剤はエトリンガイトを生成し膨張性を生み出すので、水分が不足すると膨張率が小さくなる。打ち込み後少なくとも5日間は湿潤状態を保つ必要がある。
土木学会では、膨張の測定にあたっては1軸拘束で試験するとしている。
◇石灰微分末は活性度が低く、結合材と見なさない。

★骨材
◇砂の塩化物イオン量(NaCl換算)は0.04%以下。これを超える場合は購入者の承諾が必要で0.1%を上限とする。プレテンション式プレストレストコンクリートは0.02%。承諾を得ての上限は0.03%。
◇砂の絶乾密度は2.5g/cm3以上。吸水率3.5%以下(購入者の承諾で絶乾密度は2.4g/cm3以上。吸水率4.0%以下)。微粒分量3.0%以下(表面がすり減りを受けない場合5.0%以下)。粘土塊量1.0%以下。
◇砂利の絶乾密度は2.5g/cm3以上。吸水率3.0%以下(購入者の承諾で絶乾密度は2.4g/cm3以上。吸水率4.0%以下)。微粒分量1.0%以下。柔らかい石片5.0%以下(表面に硬さが要求される場合)。粘土塊量0.25%以下。
◇骨材の安定試験=凍結融解に対する耐性。上限値は砂10%、粗骨材12%。
◇有機不純物=砂のみチェック。有機酸(フミン酸、タンニン酸)と水酸化カルシウムが反応して生成する物質は硬化不良を起こす。
◇骨材の中の不純物は総量で3.0%以下。柔らかい煉瓦殻やAsコン殻は2.0%以下。石膏ボードとガラス片はコンクリートに有害である。
◇山砂中に微粒分が多いとコンシステンシーを得るための単位水量が増加、ブリーディングの水引が悪くなる。
◇骨材の表面水率=(湿潤状態の質量-表乾状態の質量)を表乾状態の質量で除して百分率で表したもの。配合計画は絶乾で行うので、現場配合では表面水率分の水量をマイナス補正しなければならない。
◇異なる種類の骨材を混合利用する場合、各々が品質規定を満足すること。ただし、粒度と塩化物イオン量は混合したものが規格に適合しなければならない。
◇粗骨材の粗粒率(FM)=10種類の各ふるい(80,40,20,10,5,2.5,1.2,0.6,0.3,0.15mm)に留まる試料の質量百分率/100
◇粗骨材の最大寸法=質量で少なくとも90%が通過するふるいの中の最小寸法。最小寸法=質量で少なくとも95%が留まるふるいの中の最大寸法。
◇骨材の実績率=絶乾の単位容積質量を骨材の絶乾密度で除して百分率で表す。密度が同じであれば単位容積質量が大きいほど大きな値となり、粒形が良いと推測出来る。特に砕石使用の際の目安になる。粗骨材の実績率はペースト量と逆な関係になるので、単位水量や細骨材率に影響する。
砕石の粒形判定実績率は55%以上とする。砕砂の粒形判定実績率は53%以上とする。
◇粒形判定実績率の大きい骨材を使用するとスランプは大きくなる。単位水量が同じであれば直線関係。角が取れた骨材は実績率が上がるし、引っかかりが少なくてスランプ大。◇アルカリシリカ反応に無害な区分Aと、無害でないあるいは試験をしてない区分Bを混合した場合は区分Bとする。ペシマムにより膨張性が高まる恐れがある。
◇粗骨材の寸法が大きいほどモルタルとの連続接触面積が大きくなるので、W/Cが大きなコンクリートでは強度が高くなる。しかし、締め固め不足があるとブリーディング水が粗骨材下面に溜まり強度低下を招く。十分W/Cが小さいコンクリートでは接触面の付着強度の影響が小さくなるので、骨材寸法と圧縮強度の関係は見いだしにくい。粘性が上がること等を勘案して適切な最大寸法を定める。
◇構造用軽量骨材は軽くて空隙が大きく、粒度による密度差も小さくない。よってJAS A 1135により密度と吸水率の試験方法が定められている。

★水
◇水和反応に必要な水は単位水量のおおよそ40%。科学的結合に25%、ゲルに付着するのが15%。
◇W/Cが小さい場合、水和物の間にある水分も水和反応に使われるため、自己収縮が大きくなる。
◇練り混ぜ水は(1)上水道水、(2)上水道水以外の水、(3)回収水(上澄水や懸濁したままのスラッジ水)に大別。
水道法に定める水質基準に適合する水は試験を行わずに練り混ぜ水として使用出来る。
上水道水以外の水とは、上水道水としての処理をしていない工業用水や河川水、井戸水(地下水)で、JIS A 5308附属書に定める品質、懸濁物量2g/L以下、溶融性蒸発残留物1g/L以下、塩化物イオン量(Cl-)200ppm(ppm=1/1000000)以下、セメントの凝結時間の差は始発30分以内終結60分以内、モルタルの圧縮強度比がσ7とσ28で90%以上を満足すること。
回収水の使用については、JIS A 5308附属書に定める品質と日本コンクリート工学協会(JCI)の回収水委員会報告の品質がある。JCIでは、上澄水は上水と同様に使用して差し支えないとしている。
JISではスラッジ水を使用する場合にスラッジ固形分は3%以下と規定している。JCIではセメント質量の3%以下とし適正に配合を補正するとしている。
JCIの回収水使用基準では、スラッジ固形分1%について、W/Cとコンシステンシーを一定にするためには1〜1.5%の単位水量の増加、s/aを0.5%減じる。
スラッジ固形分1%につきS/aを0.5%減らす。
スラッジ固形分はAE剤の効果を低減するので、スラッジ固形分1%あたり10%程増やす。
スラッジ増加に伴い、乾燥収縮が大きくなること、強度低下が懸念されることに留意。
◇海水には0.3%(NaCl換算)程の塩化物が含まれる。潮汐は河川水に影響を与えることに留意。
◇2種類の水を混合使用する場合、各々が規定を満足していなければならない。
★混和剤
◇AE剤=エントレインドエア(直径25〜200μm)を連行させる界面活性剤。
ワーカビリティーの改善、耐凍害性向上のために用いる。連行された気泡がコンクリート中の自由水の凍結による体積増を吸収する。
練り混ぜ開始1〜2分で空気量が増加し、4分程で最大化、その後減少する。
空気量に関しての一般則は、
1)単位当たりのAE剤やAE減水剤の使用量を増やすと空気量は増大。
2)単位セメント量が増すと空気量減少。混和材の微粉末量が増えると空気量減少。
3)セメントの粉末度(比表面積)が大きくなると空気量減少。微粉末が細かくなると空気量減少。
4)細骨材率が大きくなると空気量増加。細骨材の0.3〜0.6mmが増すと空気量増加。
5)AE剤使用での空気量は一般的に4.5%(3〜6%)。凍害を受ける恐れのある寒冷地では空気量を4.5%とする。
コンクリート温度が低いと空気量は増加。暑中は空気量が減りやすいのでAE剤を増やすことになる。
耐凍害性には、100〜200μm以下の小さな気泡が効果がある。AEコンの気泡間隔係数は150〜200μm程。
6)粗骨材最大寸法が小さい場合、空気量を増す。
7)高強度になるほど、空気量増加による強度低下が増大。1%の空気増で4%程度の強度低下。したがって、60N/mm2では2%程の空気量で配合設計する。
自然に入る空気(エントラップドエア)は、AE剤で連行されたものより径が大きい。100μm程。
◇高性能減水剤=AE減水剤に比べ、
・使用量が多くなっても空気連行量が過剰にならない、
・異常な凝結遅延が起きない。
・20〜30%の減水効果を生み出せる。
減水効果は温度が高くなるほど大きくなる。
◇流動化剤の主成分は高性能減水剤と同じ。後添加のほうが分散効果が高くなる。
◇材料分離抵抗を持ちつつ、流動性を増加させるには、高性能減水剤あるいは高性能AE減水剤に粘性を生み出すものを添加する。
粉体系と増粘剤系、併用系の3つがある。増粘性剤と高性能AE減水剤には相性がある。
◇高性能AE減水剤=材料分離しにくいため、普通のAE減水剤よりも単位セメント量を10kg以上減らすことが可能な上、スランプ保持が可能で流動性を付与出来る。
セメント粒子の分散力が大きいので凝結が遅延傾向になりやすい。
◇遅延剤=セメント粒子表面に付着し、水との接触を妨げることで水和反応を遅らせる。σ3あたりでは強度発現が多少遅くなる。
◇発泡剤=アルミニウム粉末がアルカリと化学反応をおこして水素ガスが発生する。水素ガスは抜けていくので硬化後に泡跡は無い。
2Al+Ca(OH)2+2H2O→CaAl2O4+3H
◇起泡剤=気泡コンクリートに用いる。界面活性剤、樹脂石鹸、タンパク質誘導体を主な成分とする。硬化後は起泡跡が残る。

★鋼材
◇異形鉄筋は、節を有するためにコンクリートとの機械的抵抗で付着性に優れる。
突起に応力集中が生じやすいため、D16以上では節の付け根に公称径の10〜20%の半円弧をつける。
径が大きくなると割裂作用が出てくる。剪断力下では付着力が低下する。
◇PC鋼材=高炭素鋼などの引張強度が大きく伸びが小さい材質。
降伏点が分かりづらいことから、0.2%永久歪の応力を耐力として使う。
PC鋼材は引張で常用使用するので、塑性変形により応力(張力)が減少する。この性質をリラクセーションと呼ぶ。
◇鉄筋が、コンクリートを拘束する度合いが大きいとひび割れは分散する。
異形鉄筋はリブにより拘束度合いが大きくなるので分散しやすい。
鉄筋量が同じであれば、細径のほうが全体の付着が大きくなり拘束するので分散しやすい(ひび割れ用心筋の仕組み)。


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配合・製造
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◇W/C=質量比。S/a=容積比。混同しないこと。
コン示及びJASS5ではW/Cの上限を55%と規定。
◇塩化物イオン量は0.3kg/m3以下とする。
◇ASR抑制のため総アルカリ量は3.0kg/m3以下とする。
◇水と骨材の混合物は40℃以下にしておく。
◇高炉セメントは温度依存性が高いので、水和熱抑制策として使用する場合は注意する。◇材料は別々に計量するのを原則とする。ただし、水と混和剤は累加計量でもよい。1バッチ当たりの計量誤差は、
セメント:±1%
水:±1%
骨材:±3%
混和剤:±3%
混和材:±2%
骨材は、最大出荷量1日分以上を貯蔵出来る貯蔵設備に納める。
計量器の静荷重試験は6ヶ月に1回以上、動荷重試験は1月に1回以上。
◇ミキサーの練り混ぜ性能はJIS A 1119、同8603に定めるものとし、モルタル分の単位容積質量差0.8%以下、粗骨材量差5%以下とする。
また、圧縮強度試験、空気量試験、スランプ試験で性能を確認する。
サンプリングは2箇所とし、左右あるいは中央と端の2箇所とする。
生コン購入にあたっては、計量器やミキサー、アジテーターが所要の性能を確保していることを確認する。
強制練りミキサーの性能は、公称量とその1/2を試験用コンクリート(24-8-20砕で空気量4.5%)を60秒間練り混ぜて調べる。
◇ミックスセレクターは20種類以上の配合が設定出来ること。
◇アジテーターは、積荷の1/4と3/4の箇所からサンプリングし、スランプ差が±3cm以内であることで、材料分離をしない性能を有することを確認。
◇人工計量骨材はプレウェッテングを要する。使用にあたっては散水設備を用意。


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フレッシュコンクリート
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◇現場試験のサンプリングは30秒間高速攪拌した後、最初の50〜100リットルを除いて、コンクリート流の全段面から採取する。
強度試験は原則150m3に1回。ただし高強度コンクリートは100m3毎に1回行う事を標準とする。
◇スランプ試験=コンシステンシーを調べる試験。スランプ値とタッピング後の値でワーカビリティーの判断も出来る。
スランプコーンの内側を湿布等で拭き平板に置く。生コンを3層に分け入れ均した後、25回突き固める。前層に届くように突き入れる。材料分離が生じそうな場合は突く回数を減じて良い。スランプコーンをスムーズに引き上げ、沈下した量を測定。
◇スランプの許容幅は、
目標2.5cmで±1cm
目標5、6cmで±1.5cm
目標8〜18cmで±2.5cm
目標21cm以上で±1.5cm
高性能AE減水剤使用で±2cm
スランプフローは±7.5cm
◇空気量は普通コン4.5±1.5%、軽量コン5.0±1.5%、舗装コン4.5±1.5%。寒冷地は空気連行量が0.5%減る。
◇W/C固定で空気量を1%増やすと強度は5%程低下する。
◇空気室圧力方法(ワシントン型エアメーター)で測定する場合、細・粗骨材の中に潜んでいる空気量を修正しなければならない(骨材修正係数)。読み取り値からこれを引いて空気量とする。
◇連行させる空気(エントレインドエア)は直径50〜200μm(0.05〜0.2mm)。気泡間隔は200μm程度。
◇エントラップドエアの大きさは100μm以上で、間隔は400〜700μmと大きい。ベアリング効果は無く、間隔が大きいため耐凍害性向上もない。
◇スランプ試験、空気量試験、またはその双方が許容範囲を外れた場合、1回に限り両方の試験を行い適合すれば合格と出来る。
硬練りコンクリートのコンシステンシーは振動台式コンシステンシー試験での振動時間(秒)で表す。
◇凝結はプロクター貫入抵抗試験で調べ、25mm貫入で抵抗3.5N/mm2を始発の開始時間とする。終了は28N/mm2以上。
試料は5mmふるいでウエットスクリーニングして粗骨材を取り除いたものとする。
◇注水直後にC3Aが溶出、エトリンガイトを生成。次に、C3の反応が加速して凝結がスタート。
◇ブリーディング試験=20±3℃の室温で、打ち込み後60分まで10分毎に、60分を超えたら30分毎にしみ出しが無くなるまで、コンクリート表面にしみ出した水を吸い取って測定する。
ブリーディング率はブリーディング水量を試料の水量で除した百分率。
◇塩化物については、20リットルの同一サンプルで濃度試験を2回行い、平均値に単位水量を乗じて塩化物含有量とする。
購入者が承諾すれば簡易型測定器を使用出来る。


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施工
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◇型枠計算に使うコンクリートの側圧は、部材形状や寸法、打ち上げ速度などの影響を受ける。
◇生コンは、比重1.0〜3.16まで、液体から40mmまでの固体と各種混ぜているので、材料分離しやすく不均一になりやすい材料であることを念頭に打設計画を立てる。
◇ポンプ選定手順→吐出量から管内圧力損失を求める(グラフ利用)→水平換算距離を出す(目安として上向垂直管4m、ベント管6m、テーパー管3m、フレキシブルホース20m)→最大圧送負荷P=管内圧力損失*水平換算距離→余裕(1.25)を見て機種を決める。
◇塑性粘度=流動速度に準じて増加する抵抗性を表す粘性。スランプ大小の影響は小。
◇降伏値=ビンガム流体が流動を開始するのに必要な最小値。スランプが大きいと小さくなる。
降伏値、塑性粘度が共に大きいと材料分離抵抗は大だが、コンシステンシーは小さい。
加える応力が一定値を超えないと流動しないものがビンガム流体。外力が加わると直ぐ流動し始めるのがニュートン流体。
◇生コンの落下高さは、コン示では1.5m以下に規定、JASS5では分離しない自由落下高さとしている。
◇バイブレーターは内部振動機が最も効果的。45mm棒形で10m3/h程度。型枠振動機はジャンカ防止や気泡抜き。
◇ブリーディング=粉末度が高いと凝結が速く少。細骨材の粒度が細かいと少。
W/Cが大きいと大。スランプが大きいと大。コン温が低いと大。打設速度が速いと大。リフト高が高いと大。
◇暑中においては、コンクリートの打ち込み温度を35℃以下(コン示)とする。JASS5では荷卸し時の温度を35℃以下と規定。
◇湿度が低い日や風により乾燥する日は、水を加えて調整するのでなく、W/Cを同じくしたペーストで調整。
◇沈下ひび割れ=主に配筋に沿って生じ、幅1mmにもなる大きいものもある。生コンが沈下するのを鉄筋等が抑制するために発生する。
抑制策としては、ブリーディングの少ないコンクリートとする。
生コンがプラスチック状態での再振動は、沈下ひび割れ修復に有効。振動限界は始発時間。
打ち重ねはこれよりも数段早い時間で行う。
◇プラスチック収縮=0.1mm幅以下のひび割れが不規則で発生。
プラスチックひび割れを抑制するには、水分蒸発を防止すること。
蒸発が時間当たり1g/m3以上になるとひび割れ発生の恐れあり。
強い直射日光、強風が吹く、湿度が低い等が予想される時の打設は、対策を織り込んだ打設計画を立てるだけでなく、乾湿計を用意。
◇鉄筋重ね継手長は、コンクリートの付着力が鉄筋の応力以上とする。
L≧d*(σs/4τo) 従って径に比例して長くなる。太径は不利なのでJASS5ではD35以上に重ね継手を原則使わないとしている。
◇ガス圧接は同種鉄筋で呼び径差7mm以内とする。


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 硬化したコンクリート
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◇1回の試験結果は呼び強度の85%以上で、3回の試験結果の平均値は呼び強度以上でなければならない。
コンクリートは弾性体と見なして設計されているが、破壊付近では内部に微細ひび割れを生じ(付着破壊)塑性破壊的になる。破壊強度の半分当たりから微細ひび割れは生じ、荷重をゼロに戻しても残留歪はある。
◇供試体の直径高さの比(H/d)は圧縮強度に影響する。これは試験機の加圧板による拘束(摩擦)が原因。
(H/d)が小さくなる(同径で高さが短い)と見かけの強度が大きく出る。
拘束であるので、(H/d)が同じでも直径が小さい方が見かけの強度が大きく出る。
◇試験機の加圧速度が大きいと、圧縮強度は大きく出る。
◇水中で養生した供試体は、水から出したら直ちに試験する。乾燥させると見かけの強度が大きくなる。
◇曲げ強度は圧縮強度の1/5〜1/7。
◇引張強度は圧縮強度の1/9〜1/13。軽量コンは1/12程。 引張強度=2P/π*d*L
◇付着強度fb=P/πφL。鉄筋とペーストの粘着力、鉄筋との摩擦力、鉄筋表面の凸凹による機械的抵抗力が付着強度になる。
◇反発強度=圧縮強度が大きくなると反発力は大きくなる。
◇全歪=弾性歪+収縮歪+クリープ歪。 弾性歪ε=σ/E
クリープに影響を与えるのは以下
1)W/Cが大きいとクリープは大きい。
2)持続応力度が大きいとクリープは大きい。
3)期間中に乾燥したほどクリープは大きい。
4)期間中に温度が高いほどクリープは大きい。
5)骨材密度が小さいとクリープは大きい。
6)蒸気養生したコンクリートは、通常の養生をしたものよりクリープは小さい。
7)早強セメントは普通セメントよりクリープが小さい。
8)部材寸法が大きいと小さいものよりクリープは小さい。
9)クリープ限度=クリープの生じる下限の応力。一般的に圧縮強度の80%程。
10)クリープ係数=弾性歪に対するクリープ歪の比。普通コンクリートも高強度コンクリートも大きく変わらない。
◇最大圧縮応力での歪は2/1000程。破壊時の歪は3/1000程。ポアソン比は設計値として0.2。
◇コンクリートの伸び(引張破壊)はおおよそ15*1/100000。
完全乾燥による縮み(収縮)は50*1/100000以上。拘束を受けるとひび割れが生じやすいのはこのため。
◇静弾性係数は圧縮強度が大きいと大きくなる。
◇コンクリートの疲労強度は、200万回繰り返しで強度の60%程とされる。
◇透水係数が大きいコンクリートは水密性が低い。 Q=K*A*H/L H=水頭差
◇コンクリートの熱膨張係数は1/100000℃程で鉄筋と同じくらい。
◇一般的なコンクリートのヤング係数は圧縮強度の1000倍ぐらい。鉄筋は2.1*100000N/mm2。
圧縮強度の平方根に比例、気乾単位容積質量の3/2乗に比例するとの研究あり。
◇荷重によるひび割れの発生箇所は、引張力が作用する箇所。荷重により変位する姿を考えると分かりやすい。