[07]運搬・現場運搬

練混ぜから打終わりまでの時間
 1)練混ぜてから打終わりまでの時間は、一般の場合には、外気温が25℃以下のときで2時間以内、25℃を超えるときで1.5時間以内を標準とする。

運搬
 1)現場までの運搬は、荷卸しが容易で、運搬中に材料分離が生じにくく、スランプや空気量等の変化が小さい方法であることを確かめなければならない。
 2)レディーミクストコンクリートを使用する場合には、JIS A 5308 の運搬に関する規定に従わなければならない。

JIS A 5308 「レディーミクストコンクリート」では、運搬車の性能を規定すると共に、練混ぜを開始してから荷卸しまでの時間の限度を、原則として1.5時間以内と規定している。コン示では、外気温が25℃を超えるとき、練混ぜから打込み終了までの時間の標準を1.5時間以内としている。工場から現場までの運搬時間は1時間以内を目安にするとよい。
運搬距離が長い場合やスランプの大きいコンクリートを運搬する場合には、アジテータなどの攪拌機能があるトラックミキサやトラックアジテータを用いて運搬しなければならない。
スランプ5cm以下の硬練りコンクリートを、10km以下の距離を運搬する場合や1時間以内に運搬可能な場合には、材料分離を生じず、スランプや空気量等の変化が小さいことを確認した上で、ダンプトラックやダンパによる運搬、あるいはバケットを自動車に積んで運搬しても良い。

コンクリートポンプ
 1)コンクリートのポンプ圧送にあたっては、所要の品質のコンクリートが得られるよう、コンクリートポンプの圧送性を考慮し、コンクリートポンプの機種、輸送管の径、配管の経路、吐出量などを決めなければならない。
 2)輸送管の径は、コンクリートの種類および品質、粗骨材の最大寸法、圧送条件、圧送作業の容易さ、安全性等を考慮し、圧送性に余裕のあるものを選定するものとする。配管の距離ができるだけ短く、曲がりの数が少なくなるように、コンクリートポンプの配置および配管の経路を決める。
 3)コンクリートポンプの種類および台数は、圧送負荷、吐出量、単位時間当たりの打ち込み量および施工場所の環境条件等を強呂して決めなければならない。
 4)コンクリートの圧送に困難が予想される場合には、あらかじめ圧送試験を行い、コンクリートの圧送性および品質を確認しておかなければならない。
 5)ポンプのホッパや輸送管等の内面は、コンクリートを圧送する前に、コンクリートの水セメント比より小さいモルタルを圧送してモルタルを付着させておくことを標準とする。圧送後のモルタルは、型枠内に打ち込まないことを原則とする。
 6)圧送はできるだけ連続的に行えるように計画し、管理しなければならない。やむを得ず長時間中断する場合には、再開後のコンクリートのポンプ圧送性および品質が損なわれないように適切な措置を講じなければならない。

圧送後のコンクリートは、スランプだけでなく、空気量、単位容積質量、温度などが所要の範囲であることが重要。品質変化が想定の範囲を超える場合には、コンクリートの配合、スランプ、圧送方法等を見直し、適切な対策を講じなければならない。
圧送作業を行う者は、公的資格(コンクリート圧送施工技能士など)を有する者またはこれと同等以上の技能を有していることが望ましい。
一般的には、呼び寸法100A(4B)の輸送管は、粗骨材の最大寸法が25mm以下で、配管距離も比較的短い場合に用いることが出来る。
ポンプ圧送で考慮が必要なコンクリートまたは施工・環境条件としては、
 (@)単位セメント量が270kg/m3程度未満の貧配合あるいは350kg/m3程度を超える富配合のコンクリートの圧送。
 (A)圧送前のスランプが8cm未満のコンクリートの圧送。
 (B)流動化剤または高性能AE減水剤を用いたコンクリートの圧送。
 (C)寒中コンクリートおよび暑中コンクリートに該当する施工環境下でのコンクリートの圧送。
 (D)高所または低所への圧送、および長距離の圧送。
 (E)軽量骨材コンクリート、高強度コンクリート、高流動コンクリート、短繊維補強コンクリート、水中不分離性コンクリートおよび吹付けコンクリートの圧送。
フレッシュコンクリートのポンプ圧送性を事前に評価する簡易な試験方法に JSCE-F 502 「加圧ブリーディング試験方法」がある。

以下は2002版メモ---------------------

コンクリートポンプ
 コンクリートの圧送は、
@コンクリート諸元 : コンクリートの種類及び品質、粗骨材の最大寸法
Aポンプ能力 : コンクリートポンプの機種と台数
B輸送管条件 : 輸送管の径と配管経路(水平換算距離)
C圧送条件 : 圧送負荷や吐出量、単位時間あたりの量
D安全性
E環境条件
を考慮して決める。


最大圧送負荷(Pmax)
Pmax=水平管1m当たりの管内圧力損失×水平換算距離

水平換算長さ
 125A(5B):直径5インチ125mm管のときで、
  垂直1m→4m
  125Aから100Aのティーパー管→3m
  90度ベント管→6m
  5〜8mのフレキシブルホース→20m

 コンクリートの圧送開始に先立ち、ポンプや配管内面の潤滑性を確保する目的で、コンクリート中のモルタルと同程度の配合の先送りモルタルを圧送する。先送りモルタルは型枠内に打ち込まないことを原則とする。


バケット
 コンクリートの材料分離を最も少なくできる運搬方法。


シュート
 縦シュートを標準とする。
やむを得ず斜シュートを用いる場合、水平2に対して鉛直1以下を標準とし、その吐出口には材料分離を防ぐバッフルプレート及び漏斗管を設ける。