2002版のメモ-------------------------------------------------
コンクリートのひび割れ
コンクリート構造物に発生するひび割れは、鋼材腐食による耐久性の低下、水密性、機密性の機能低下および美観が損なわれる等の原因になる。
コンクリート構造物に発生するひび割れは<1>荷重に起因するもの、<2>材料および施工に起因するものに大別される。
<1>荷重に起因するものは、特に曲げモーメント、剪断力、捻りモーメントおよび軸力の影響である。
<2>材料および施工に起因するものは、例えば、セメント水和熱による温度ひび割れや収縮によるひび割れがあり、構造物に及ぼす影響が大きい。(ひび割れの種類については「耐久性判定調査項目及び変状原因のひび割れ発生の原因」を参照。)<2>のひび割れに対する設計上の対策としては、ひび割れ制御鉄筋の配置、ひび割れ誘発目地の配置、ひび割れ制御用プレストレスの導入等が考えられる。ただし、完成後の荷重を支持するひび割れ制御鉄筋にあっては、コンクリートの収縮等で鉄筋に引張応力の一部が残留しているので、設計に当たっては注意しなければならない。
許容ひび割れ幅
コンクリートの許容ひび割れ幅は、構造物の使用目的、環境条件、部材の条件等を考慮して定めることを原則とする。
鋼材腐食に対する許容ひび割れ幅は、0.35〜0.5mm、水密性に対しては0.1〜0.2mmを目安とする。
ひび割れ照査
セメントの水和に起因するひび割れ照査に関しては、温度解析によって算定される温度分布に基づく体積変化と自己収縮による体積変化を求め、これを採り入れたコンクリートの応力により、ひび割れの発生を確かめる。
コンクリートの断熱温度上昇特性は、コンクリートの構成材料、配合、打ち込み温度などを考慮して決める。
ひび割れ指数=(σtのコンクリート引張強度)/(t日における最大主引張応力度)≧1.0〜1.8
u.yanのメモ
沈下ひび割れ
打設後、ブリーディングと硬化収縮によりコンクリートは沈下するが、鉄筋やセパレーター等により沈下量に差があると沈下ひび割れが生じる。打設後、数時間でひび割れが生じるので、発見したらタンピングする。
対策としては、材料分離抵抗を増すため、粒度分布を最適化する、減水剤により単位水量を減らす、W/Cを小さくする。
プラスチック収縮ひび割れ
コンクリートの表面が乾燥収縮し、生じたひび割れ。ブリーディング水の上昇より蒸発速度が大きいために生じるので、表面を乾燥させない。
温度ひび割れ
水和反応による熱でコンクリート温度が上昇。凝結前は問題なくコンクリートが膨張。凝結後に外気温で冷え始めるとコンクリートは収縮。この収縮が邪魔をされる(拘束される)ことで、引張応力がコンクリートの引張強度を超え、ひび割れが発生。
コンクリート内部の温度が高い状態で表面だけ冷えると、表面付近が収縮しようとするのを内部のコンクリートが拘束する(内部拘束)。コンクリートが全体に冷えた時、基礎や先行打設箇所等によって拘束される(外部拘束)。これによりひび割れが生じる。内部拘束によるひび割れは表面付近のみ。外部拘束によるひび割れは貫通ひび割れとなる。
防止方法としては、
(1)区画割りの最適化と誘発目地の設置。
(2)中庸熱セメント、低発熱セメントの利用。
(3)セメント量を小さくすることで水和熱量を低減する。単位水量を下げるため粗骨材を大きくし、粒形を整える。
(4)骨材を直射日光に当てない、予め冷やしておく。
(5)生コン温度を上げない工夫として、アジテータやポンプ配管を直射日光にさらさない。打設前に、熱くなった型枠を散水等で冷ます。
(6)水和熱上昇を抑制する方法としてパイプクーリング。