2002版のメモ-------------------------------------------------

型枠および支保工
 型枠および支保工は、設計図に示されている形状、寸法に従い施工しなければならないが、事前に設計図を作成するのを原則とする。
型枠及び支保工の組み立て精度は、完成後のコンクリート構造物に要求される精度を満足するよう、打ち込み前に確認する。
 型枠及び支保工は以下の荷重に対して必要な強度と剛性を有し、形状、寸法にズレを起こさないものであること。また、安全でなければならない。
<1>鉛直荷重:型枠、支保工、コンクリート、鉄筋、作業員、機械、仮設備等の質量と衝撃荷重。
    (参考)
   コンクリート:2.40t/m3
   軽量コン:1.90t/m3 , 1.70t/m3
   鉄筋:0.15t/m3
   作業荷重+衝撃荷重:2.50kN/m2の等分布荷重

<2>水平荷重:型枠の傾斜、作業時の振動、偏載荷重、施工誤差に起因するものの他、必要に応じて風圧、流水圧、地震等を考慮する。
    (参考)
   パイプサポート、鋼柱:設計鉛直荷重の5%
   枠組支柱:設計鉛直荷重の2.5%
   擁壁、壁型枠:500N/m2
倒壊事故は水平荷重に起因するものが多いので慎重に仮定する。

<3>コンクリートの側圧:使用材料、配合、打ち込み高さ、コンクリート温度、打ち込み速度、締固め方法等を考慮して仮定する。
 普通ポルトランドセメント、スランプ10cm以下、単位容積質量2.40t/m3、内部振動機使用の場合の側圧算定は、
   柱の場合 P=7.8*(10)^-3+0.78R/(T+20)≦0.15(N/mm2)  または、2.4*(10)^-2*H(N/mm2)
   壁の場合でR≦2m/hの時 P=7.8*(10)^-3+0.78R/(T+20)≦0.1(N/mm2)  または、2.4*(10)^-2*H(N/mm2)
   壁の場合でR>2m/hの時 P=7.8*(10)^-3+(1.18+0.245R)/(T+20)≦0.1(N/mm2)  または、2.4*(10)^-2*H(N/mm2)
         P:側圧(N/mm2)
                    R:打ち上がり速度(m/h)
                    T:型枠内コンクリート温度(℃)
                    H:検討する位置より上のフレッシュコンクリートの高さ(m)

<4>特殊荷重:埋設型枠の揚圧力、非対称に打ち込むときの偏載荷重、ころび底面での水平分力等である。

 型枠及び支保工に用いる材料はJIS、JASに定める規格品を標準とする。強度、剛性、耐久性、作業性、打ち込まれるコンクリートへの影響、コンクリートの美観、経済性を考慮して選定する。
 型枠は作用荷重に対して、形状及び位置を正確に保てるだけでなく、コンクリートに振動や衝撃を与えずに取り外せる構造とする。


支保工
 支保工は、組立・組外しに便利な構造で、荷重を確実に基礎に伝える形式でなければならない。
支保工の基礎は過度の沈下や不等沈下が生じないようにする。
 コンクリートの自重によるたわみや支保工の沈下等があり、”上げ越し”は施工上必要な対策である。
 重要な構造物の支保工については設計図を作成する。
 コンクリートの表面から2.5cmの間にあるボルトや棒鋼等は穴を開けて除去し、高品質のモルタル等で埋めることにより錆汁の発生を防ぐ。
 型枠及び支保工は打ち込み前及び打ち込み中に、寸法及び不具合の有無を管理しなければならない。


型枠および支保工の取り外し
 コンクリートが自重及び施工期間中に加わる荷重を受けるのに必用な強度に達するまで、型枠及び支保工は取り外さない。
ラーメンやアーチ等では、ひび割れの発生を抑制するためにクリープを利用して型枠及び支保工を取り外す場合があるが、その場合でも所要のコンクリート強度に達してから行う。
 型枠および支保工を取り外す場合は、構造物に害を与えないように出来るだけ静かに行う。
 コンクリートが取り外しに必用な強度に達する材齢の判定は供試体の圧縮強度試験による。供試体は外気温や乾燥の影響を構造物のコンクリートより受けやすいので、これらを考慮した養生方法をおこなって判定する。
 型枠を取り外す順序は、比較的荷重を受けない部分からおこなうのが一般的である。
 型枠および支保工を取り外した直後に、コンクリート上に載荷する場合は、コンクリート強度をもとに計算等をおこない、ひび割れなどの損傷が生じないようにする。
 スリップフォームにおいては、脱型直後のコンクリート強度は、作用荷重による応力の2倍以上が必用である。