[07]レディーミクストコンクリート(ready mixed concrete)

(1)レディーミクストコンクリートは、JIS A 5308 に適合し、JISマーク表示認証のある製品(以下JIS認証品)を用いることを原則とする。
(2)レディーミクストコンクリートの購入にあたっては、所要の品質のコンクリートが得られるように、工場を選定し、材料、品質、配合などについてJIS A 5308 に規定されている指定事項について生産者と協議しなければならない。
コンクリート標準示方書とJIS A 5308 の規定が異なる場合には、厳しい方の規定に従うことを標準とする。

工場の選定
 1)レディーミクストコンクリート工場は、JIS認証品を製造する工場のうち、全国生コンクリート品質管理監査会議から○適マークを承認された工場から選定しなければならない。
 2)工場の選定に際しては、現場までの運搬時間、コンクリートの製造能力、運搬車の数、工場の製造設備、品質管理状態を考慮しなければならない。
レディーミクストコンクリート工場は、製造設備、製造技術、品質管理状態等に差がある。
登録機関(民間)がJIS Q 1001「適合性評価−日本工業規格への適合性の認証−一般認証指針」および JIS Q 1011「適合性評価−日本工業規格への適合性の認証−分野別認証指針(レディーミクストコンクリート)」に基づき、工場を審査し適合した製品にJISマークを表示する認証を与えている。
平成20年9月30日までは「JISマーク認定品」も「JIS認証品」と同様に扱う。
○適マーク工場は、JIS認証工場のうち、コンクリート主任技士またはコンクリート技士の資格を持つ技術者、あるいはこれらと同等以上の知識を有する技術者が常駐し、配合設計や品質管理を適切に実施できる。
JIS A 5308 に定める時間内にコンクリートが運搬および荷卸しが可能な距離にある工場を選定しなければならない。
運搬時間はなるべく短い方がよい。搬路の交通状況や天候で運搬時間が変動することを考慮する。
製造能力等により複数の工場で製造したレディーミクストコンクリートを購入する必要がある場合、工場によって材料の品質、コンクリートの配合、スランプや空気量の経時変化、品質管理体制等が相違するため、施工者はそれらの違いを十分確かめ、配車や打込みなどの計画および管理を適切に行わなければならない。

品質についての指定
高強度コンクリートに関しては、コン示とJISの規定とは必ずしも一致していない事に注意。
コン示施工編では、配合強度は、圧縮強度の試験値が設計基準強度を下回る確率が5%以下となるように定めている。JIS A 5308 では、品質条件における不良率を0.0013%としているため、コン示で定めた強度を上回ることになる。
アルカリシリカ反応抑制対策の方法は、必ず生産者と協議する。
JIS A 5308 附属書2に規定する次のいずれかの抑制対策をとる。
ア)コンクリート中のアルカリ総量を規制する抑制対策。
イ)アルカリシリカ反応抑制効果のある混合セメントなどを使用する抑制対策。
ウ)安全と認められる骨材を使用する抑制対策。

JIS A 5308 では生産者と協議しa〜d、必要に応じてe〜qを指定
 a  セメントの種類
 b  骨材の種類
 c  粗骨材の最大寸法
 d  アルカリシリカ反応抑制対策の方法
 e  骨材のアルカリシリカ反応性による区分
 f  呼び強度が36を超える場合の水の区分
 g  混和材料の種類および使用量
 h  標準とする塩化物含有量の上限値と異なる場合はその上限値
 i  呼び強度を保証する材齢
 j  標準とする空気量と異なる場合は、その値
 k  軽量コンクリートの場合は、コンクリートの単位容積質量
 l  コンクリートの最高または最低の温度
 m  水セメント比の目標値の上限値
 n  単位水量の目標値の上限値
 o  単位セメント量の目標値の下限値または上限値
 p  流動化コンクリートの場合は、流動化する前のレディーミクストコンクリートからのスランプの増大値
 q  その他必要な事項

受入れ
JIS A 5308では練混ぜを開始してから1.5時間以内に荷卸しが出来るように運搬しなければならないとしている。コン示では、練混ぜから打込み終了までの時間を外気温が25℃以下の時で2時間以内、25℃を超えるときは1.5時間以内を標準としている。運搬時間として1時間以内を目安にしないと25℃を超える時期に施工を行うことは難しい。

以下は2002版のメモ---------------------

 レディミクストコンクリートを用いる場合には、原則として JIS A 5308 に適合するものを用いなければならない。

 JISには、コンクリートの種類、品質、配合、材料、製造、品質管理、試験方法等が規定されている。
コンクリート標準示方書では、コンクリートの耐久性を決定する配合要因は水セメント比、単位水量などとしており、JISコンクリートと一致しないところもある。従って水セメント比を圧縮強度へ換算する等してJISコンクリートを購入する。

 設計では所要の性能が得られるコンクリートが、施工計画では施工性が得られるコンクリートが要求されるので、両方を満足するコンクリートを購入する。


工場の選定
 原則としてJIS表示認定工場で、かつ、コンクリート主任技士またはコンクリート技士の資格者、あるいはこれと同等以上の知識経験を有する技術者が常駐する工場の中から選定する。

 工場の選定に際しては、現場までの運搬時間、荷卸し時間、製造能力、運搬車数、工場の製造設備、品質管理状態等を考慮しなければならない。

 練り混ぜから打ち込み終了までの時間を、外気温が25℃を超えるときで1.5時間以内、25℃以下で2時間以内を標準とする。

 レディーミクストコンクリートの品質管理の透明性、公正性を高め、信頼性の高いコンクリートの供給を目的として、全国生コンクリート工業組合連合会は全国品質管理監査会議を設け、監査に合格した工場に○適マークを交付している。

 コンクリートのスランプは、充填性、材料分離抵抗性、運搬中の品質変化等を考慮し、作業に適する範囲で出来るだけ小さくするのが原則である。従ってポンプ打設では、圧送、荷卸し、打ち込みまでに生ずるスランプの変化を考慮して、荷卸し時のスランプを選定する。


受け入れ検査
 レディーミクストコンクリートの受け入れ検査にあたっては、必ず受け入れ検査を行わなければならない。


 レディーミクストコンクリートの品質保証研究委員会 報告書(コンクリート工学協会)には、
コンクリートの性能と関係する主な指標例として以下が示されている。

コンクリートの性能

関係する主な指標

 断熱温度上昇特性  結合材の品質、単位結合材量、温度(打ち込み時) 
 強度  セメント(結合材)水比
 中性化速度係数  結合材の品質、有効水結合材比
 塩化物イオンに対する拡散係数  水セメント比(塩化物イオン量:内部塩害の場合)
 凍結融解抵抗性  水セメント比、空気量、骨材の品質
 耐化学的侵食性  結合材の品質、水結合材比
 耐アルカリ骨材反応性  骨材および結合材の品質、単位セメント量
 透水係数  水セメント比
 耐火性  骨材の品質、単位水量
 収縮特性  コンクリート材料の品質、単位水量、単位セメント量
 ワーカビリティー  粗骨材の最大寸法、スランプ、ブリーディング率(量)、(目視による材料分離の程度)
 ポンパビリティー  骨材の品質、粗骨材の最大寸法、スランプ、ブリーディング率(量)、(目視による材料分離の程度)
 凝結特性  セメントの品質、混和材料の品質、温度(打ち込み時)