[07]信頼性確保
2007年版コンクリート標準示方書[施工編−本編]を参照
責任技術者の役割と配置
要求性能を満足し、信頼性の高い構造物を造り、維持管理を行うには、それに関わる技術者が、当該業務の遂行能力と高い倫理観がを持っていることが必要。
コンクリートの計画、設計、施工、維持管理にあたっては、業務状況に応じて適切な技術判断が必要。業務の難易度に応じて、必要な技術力を有する技術者を配置しなければならない。
必要な技術的能力を有すると共に、責任と権限が与えられた責任技術者を、受発注者双方に配置することが必要。
ただし、組織の中で配置できない場合は、技術的に同等の能力を有する代行者を配置。
BOT等で、受注者が計画、設計、施工、維持管理の責任を長期に渡って保持し続ける場合は、受注者のみ責任技術者配置でも良い。
配置する責任技術者の技術的能力に関しては、計画、設計、施工、維持管理の規模、重要度、難易度に応じて適切に設定する。
一般的に、責任技術者に必要な資格は、
土木学会認定技術者の「特別上級技術者」、「上級技術者」と考えてよい。
信頼性確保のための仕組み
構造物の計画、設計、施工、維持管理の業務には多くの組織が関わりを持つ。
各業務で、信頼性の高い構造物であることを保障するには、それぞれの各組織が必要な能力と責任を持って役割を果たすことが必要。
信頼性確保の仕組みが機能するには、いずれの業務においても、遂行するにふさわしい技術力を持った人や組織に責任と権限を明確にして担当させる。
設計・計画=独立した2つの組織で設計の照査を行うことが基本。
設計会社による照査→発注者の技術者の照査。
あるいは第三者的立場の十分能力のある代行者の照査。
設計図書には2つの組織の責任技術者の署名を残す。
施工=施工者が品質管理を行い、施工者と独立した検査者が品質を確認することで信頼性を確保。
完成物で検査可能なものは、できるだけ完成物で検査。不可能なものは、施工途中で検査。
発注者が直接、施工途中で検査できない場合、施工者とは独立した代理人に依頼して良い。
信頼性の高い工法を出来るだけ多く採用。信頼性の低い工法は品質管理レベルを上げるか、検査頻度を増やして信頼性を高める。
検査項目と合否判定基準は構造物の品質に大きく影響すると共に工事費にも影響するので、契約時に具体的に示しておく。
維持管理の責任は維持管理者。
安全確保には定期的な点検が大切。
異常を発見した場合は、その対策について判断。
特に難しい変状に関して、対策を含めた判断には、多くの事例を経験してきた高い能力を持った技術者の意見を聞く。