2002版のメモ-------------------------------------------------
継目
打継目は出来るだけせん断力の小さい位置に設け、打継面を部材の圧縮力の作用する方向と直角にするのを原則とする。やむを得ずせん断力の大きい位置に打継目を設ける場合には、打継目にホゾまたは溝を造るか鋼材を配置して補強する。
打継目の施工において、設計で定めた継目の位置と構造を守る。設計で定めていない継目の施工は、構造物の強度、耐久性、水密性、外観を害さないように考慮された施工計画に従う。
地震時には、継目は構造物の弱点になる場合が多い。
外部塩分による被害を受けるおそれのある海洋コンクリート構造物においては、打継目を出来るだけ設けない。やむを得ず設ける場合には、満潮位から上60cmと干潮位から下60cmの間を避けるのを原則とする。
水平打継目は出来るだけ水平な直線とする。
コンクリートを打ち継ぐ場合、すでに打ち込まれたコンクリートのレイタンス、品質の劣る部分、ゆるんだ骨材などを完全に除き、十分に吸水させなければならない。
水平打継目処理には、硬化前処理法と硬化後処理法がある。
硬化前処理法は、打継面にグルコン酸ナトリウム等を主成分とする遅延剤を散布して打継表面薄層部のコンクリート硬化を計画的に遅らせ、高圧の空気および水でそれを除去し、粗骨材粒子を露出させるものである。
硬化後処理法は、下層コンクリートがあまり硬くなければ
・高圧の空気および水を吹き付けて入念に洗う
・水をかけながら表面をワイヤーブラシを用いて粗にする。
下層コンクリートが硬いときは
・ワイヤーブラシで表面を削るかサンドブラストを行った後、水洗いする。
上層のコンクリートを打ち継ぐ直前にモルタルを敷くのは、新旧コンクリート打継面の付着を良くするのに効果的である。
逆打ちコンクリートでは、ブリーディング水や沈下により打継面は一体とならないのが普通である。打継目の一体性を確保するため直接法、充填法、注入法、膨張法などを採用する。
・直接法:旧コンクリートに接する部分にコンクリート打ち込み口を設け、気泡やブリーディング水を逃げやすくする方法。
・充填法:新コンクリートを打継面より若干下で止め、隙間を膨張モルタルで充填する方法。
・注入法:予めグラウト注入管を埋設しておきセメントペーストや樹脂を注入する方法。
・膨張法:新コンクリートに硬化前の膨張性を与える方法。
鉛直継目
鉛直打継面の型枠は強固に支持すること。
硬化した打継面はワイヤーブラシかチッピング等で粗とするか、金網型枠を用いて粗とする。
新しいコンクリートを打ち込むときは十分吸水させ、直前にモルタルや湿潤面用エポキシ樹脂などを塗る。
打継面にはブリーディング水が集まりやすいので再振動締固めを行うのが良い。
水密を要するコンクリートの鉛直打継目では止水板を用いるのを原則とする。
止水板を用いた施工は、完全でないとかえって水密性が悪くなる。
止水板としては銅板、ステンレス板、塩化ビニル樹脂、ゴム樹脂などがある。
ハンチは床組と連続してコンクリートを打つ。
床組の打継目は、スラブ、梁のスパン中央部付近のせん断力が小さく、圧縮応力が鉛直打継目に直角に働く部分に設ける。スパン中央部で小梁と交わる場合は、小梁幅の約2倍の距離を隔てて設け、斜め引張鉄筋で補強する。
アーチの打継目は、せん断力が打継目に作用するのを防止するため、アーチ軸に直角になることを原則とする。
伸縮継目
伸縮継目は、両側の部材が拘束されない構造とし、コンクリートの縁を切る。
必要に応じて目地材、充填材、止水板を入れる。段違いを避ける必要がある場合は、ホゾか溝を造るか、ダウエルバーを用いる。
ひび割れ誘発目地
コンクリート構造物は、セメントの水和熱や外気温等による温度変化や乾燥収縮等による変形が生じることがある。この変形が拘束されるとひび割れが発生することがある。
断面欠損部等を設けることにより、予め定めた場所に人為的にひび割れを集中させることを目的としたのが誘発目地である。
ひび割れ誘発目地を設ける場合には、その間隔、断面欠損率を設定すると共に、鉄筋防食対策、かぶりの保持、目地充填材の選択等について十分な配慮が必要である。
誘発目地間隔は高さの1〜2倍、断面欠損率は20%以上とするのが一般的である。
水密構造物にひび割れ誘発目地を設ける場合、止水板設置等の止水対策を施すことにより、漏水や鉄筋の腐食を防止する。