[07]打込み準備
 1)コンクリートの打ち込み前に、鉄筋、型枠、その他が施工計画で定められたとおりに配置されていることを確かめなければならない。
 2)コンクリートの打込みの直前に、運搬装置、打込み設備および型枠の中を清掃して、コンクリート中に木片、ごみなどが混入することを防がなければならない。コンクリートと接して吸水する恐れのあるところは、あらかじめ湿らせておかなければならない。
 3)型枠内にたまった水は、打込み前に除かなければならない。型枠内に水が流入して新しく打込んだコンクリートを洗わないように適当な処置を講じておかなければならない。

打込み
 1)コンクリートの打込み作業にあたっては、鉄筋や型枠が所定の位置から動かないように注意しなければならない。
 2)打込んだコンクリートは、型枠内で横移動させてはならない。
 3)打込み中に著しい材料分離が認められた場合には、材料分離を抑制するための方法を講じなければならない。
 4)計画した打継目以外では、コンクリートの打込みが完了するまで連続して打込まなければならない。
 5)コンクリートは、打上がり面がほぼ水平になるように打込むことを原則とする。コンクリート打込みの1層の高さは、使用する内部振動機の性能などを考慮して40〜50cm以下を原則とする。
 6)コンクリートを2層以上に分けて打込む場合、上層と下層が一体となるように施工しなくてはならない。コールドジョイントが発生しないよう、施工区画の面積、コンクリートの供給能力、許容打重ね時間間隔等を定めなければならない。許容打重ね時間間隔は、下表を標準とする。

許容打ち重ね時間間隔の標準(2007年版コンクリート標準示方書施工編より)

外気温

許容打ち重ね時間間隔

25℃以下

2.5時間

25℃を超える

2.0時間

上層のコンクリートを打込む際には、下層に対しても内部振動機を挿入し、締め固めなければならない。
 7)型枠の高さが大きい場合には、型枠に投入口を設けるか、縦シュートあるいはポンプ配管の吐出口を打込み面近くまで下げてコンクリートを打込まなければならない。この場合、吐出口と打込み面までの高さは1.5m以下を標準とする。
 8)コンクリートの打込み中、表面に集まったブリーディング水は、適当な方法で取り除いてからコンクリートを打込まなければならない。
 9)打上がり速度は、一般に場合には、30分あたり1.0〜1.5m程度を標準とする。
10)スラブまたは梁のコンクリートが壁または柱のコンクリートと連続している場合には、沈下ひび割れを防止するため、壁または柱のコンクリートの沈下がほぼ終了してからスラブまたは梁のコンクリートを打込むことを標準とする。
11)コンクリートを直接地面に打込む場合には、あらかじめ均しコンクリートを敷いておくのがよい。

締固め
 1)コンクリートの締固めには、内部振動機を用いることを原則とし、内部振動機の使用が困難な場合には型枠振動機を使用しても良い。
 2)予め計画した締固め作業高さを超えることがないように、作業足場の設置や施工方法を検討しなくてはならない。
 3)せき板に接するコンクリートは、出来るだけ平坦な表面が得られるように打込み、締固めなければならない。
 5)コンクリートを十分に締固められるよう、内部振動機の挿入間隔および1カ所あたりの振動時間を定めなければならない。内部振動機はコンクリートから徐々に引き抜き、後に穴が残らないようにしなければならない。
 6)再振動を行う場合には、コンクリートの締固めが可能な範囲で出来るだけ遅い時期がよい。

締め固め作業高さ
=コンクリートの締め固めを行う作業員の足元の位置から型枠の下端あるいは先行のコンクリートの打ち込み面までの最大高さ。
コンクリート棒形振動機は JIS A 8610 、コンクリート型枠振動機は JIS A 8611 に規定されている。
コンクリートの配合、ワーカビリティーなどは、部材の形状寸法、配筋に合わせて決めているので、密な配筋の箇所などのコンクリートが行き渡りにくいところでは、コンクリートのワーカビリティーが低下しないうちに入念に締め固めることが必要。

仕上げ
 1)締固めが終わり、ほぼ所定の高さおよび形に均したコンクリートの上面は、しみ出した水が無くなるかまたは上面の水を取り除くまで仕上げてはならない。
 2)仕上げ作業後、コンクリートが固まり始めるまでの間に発生したひび割れは、タンピングまたは再仕上げによって修復しなければならない。
 3)滑らかで密実な表面を必要とする場合には、作業が可能な範囲で、できるだけ遅い時期に、金ごてで強い力を加えてコンクリート上面を仕上げるものとする。

コンクリート上面にしみ出した水を取り去らないと、レイタンス、細かいひび割れ、脆弱層の形成とその剥離を発生する恐れがある。
まだブリーディングを発生している段階で過度に均しを行うと、表面近くにセメントペーストが集まって収縮ひび割れが発生しやすくなり、コンクリート表面に脆弱層が形成されすり減り抵抗力を低下させる。
水セメント比が小さい場合や早強ポルトランドセメント等を使用した場合には、ブリーディング量が少ないため、乾燥によって打ち込み直後からコンクリート表面にこわばりを生じることがある。この場合は高強度コンクリートの仕上げを参考にする。
打込みおよび仕上げ時においても、日射や通風による乾燥を抑制するため、適切な養生をおこなう。

仕上げ面の不具合に対する措置
 1)硬化後の仕上げ面の表面状態が良好でない場合やひび割れが発生した場合には、必要に応じて適切な補修を行わなければならない。

コンクリート表面に発生した突起、すじ等は除いて平らにする。豆板、断面欠損箇所等は耐久性、美観、安全性などを考慮し、必要に応じて適切な材料、工法を選定して補修を行わなければならない。断面修復工法および表面処理工法を用いる場合には「表面保護工法 設計施工指針(案)」を参考にすると良い。

以下は2002版のメモ-------------------------------------

打ち込み
 コンクリート打ち込み作業にあたっては、鉄筋の配置や型枠を乱さない。
 打ち込んだコンクリートは、型枠内で横移動しない。
 打ち込む中に著しい材料分離が認められる場合、練り直して均等質なコンクリートにすることは難しい。型枠内に打ち込むことを止め、その後のコンクリートのために原因を調べ、防止する。
 暑中コンクリートは凝結が早く、コールドジョイントが生じやすいので打ち込みは迅速に行う。大量のコンクリートを広い面積に打ち込む場合も同様。
 施工中における万一の場合の打ち込み継続の可否は、プロクター貫入試験、鉄筋挿入、スランプ試験用突き棒挿入などある。
 打ち込み中のブリーディング水は、スポンジや柄杓、小型ポンプで除去する。
 打ち上がり速度は、一般に、30分につき1〜1.5m程度を標準とする。(型枠強度計算で検討した打ち上がり速度を超えない)
 再振動は、コンクリート中に出来た空隙や余剰水が少なくなり、コンクリート強度と付着力の増加、沈下ひび割れ防止に効果がある。しかし、遅くなるとひび割れが残る。コンクリートに鉄筋を伝って損傷が生じる。


沈下
 沈下ひび割れは、タンピングや再振動により処置する。発生後間を置かずにおこなう。
 張り出し部や壁、柱とスラブ、梁に連続してコンクリートを打ち込む場合、断面の異なる毎にコンクリートに生ずる沈下程度に差があり、一度に打ち込むと断面の変わる境界面にひび割れが発生する事が多い。断面が変わる箇所でいったん打ち止め、コンクリートの沈下が落ち着いてから次を打つ。一般的に、1〜2時間程度、沈下を待つ。

コンクリートライブラリ126「施工性能にもとづくコンクリートの配合設計・施工指針(案)」7.4.5締固めの解説によれば、
内部バイブレータの棒状バイブレータの径は、少なくとも骨材最大粒径以上、挿入間隔は径の10倍以下。
1時間当たり10m3の打込み量に対してφ50mm程度の棒状バイブレータを少なくとも2本以上使用することを標準とする。また、一箇所あたりの締固め時間の目安は、10〜15秒程度とする。