2002版のメモ-------------------------------------------------
養生
打ち終わったコンクリートは、水和反応により十分に強度を発現し、所要の耐久性、水密性、鋼材保護性能等の品質を確保し、有害なひび割れを生じさせないようにする。
そのため、打ち込み後の一定期間を硬化に必要な湿度に保ち、有害な作用の影響を受けないようにする作業を養生という。
養生目的は、<1>湿潤に保つ、<2>温度を制御する、<3>有害な作用に対し保護するがある。
<1>は、水中、湛水、散水、湿布、湿砂、膜養生。
<2>はマスコンクリート、寒中コンクリート、暑中コンクリート、促進養生。
マスコンクリートには湛水、パイプクーリング等が、寒中コンクリートには保温断熱、給熱、蒸気、電熱等が、暑中コンクリートには散水、日覆い等が、促進養生には蒸気、給熱等がある。
コンクリート打ち込み後、硬化を始めるまで直射日光、風等による水分逸散を防ぐ。
打ち込み後ごく早い時期に表面が乾燥して内部の水分が失われると、セメントの水和反応が十分行われない。また、表面だけが急激に乾燥すると、ひび割れの原因となるのでシートで日除け風除けをする。
表面を荒らさないで作業できる程度に硬化したら、コンクリートの露出面は湿布(養生マットを湿らせたもの)で覆うか散水、湛水を行い湿潤に保つ。
表 養生期間の標準
日平均気温 | 普通ポルトランドセメント | 混合セメントB種 | 早強ポルトランドセメント |
15℃以上 | 5日 | 7日 | 3日 |
10℃以上 | 7日 | 9日 | 4日 |
5℃以上 | 9日 | 12日 | 5日 |
コンクリートは十分に硬化が進むま、硬化に必要な湿度条件を保ち、低温、高温、急激な温度変化等を受けないように、必要に応じて温度制御養生しなければならない。
コンクリートは養生期間中に予想される振動、衝撃、荷重等の有害な作用から保護しなければならない。
材齢5日になるまで、海水で洗われないように保護しなければならない。
膜養生
膜養生はコンクリートの表面に膜養生材を散布して、水分の逸散を防止するものである。膜養生剤が具備すべき性質は、
・湿気、水分を透さない
・人体に無害である
・コンクリートへの付着が良い
・耐候性がある
・被覆材等の付着を阻害しない
・作業性がよい
養生方法の種類 (コンクリート施工のコツがわかる本 十河茂幸 竹田宣典 共著を参照)
養生方法 |
目的 |
方法と注意点 |
湛水養生 | 乾燥防止 | コンクリート表面に2cm〜3cm水を張る。凍結が懸念される場合は水深を深くする。 |
散水養生 | 乾燥防止 | 散水のムラに注意。気象条件により乾燥度合いが変化。 |
皮膜養生 | 乾燥防止 | 表面仕上げ後、早い時期に行う。初期の乾燥防止に有効。気温が高いと効果が薄れる。 |
保湿養生 | 乾燥防止 | 十分散水し、コンクリート表面にシートを密着させる。1日1回以上水を供給。 |
保温養生 | 保温 | コンクリート露出面、開口部、型枠をシートで覆う。 |
断熱養生 | 保温、温度ひび割れ防止 | コンクリート表面に断熱材を敷いたり、断熱材付き型枠を使用。部材寸法がある程度大きい場合に有効。 |
蒸気養生 | 強度発現促進 | プレキャスト部材や二次製品を造る場合。蒸気により温度と湿度を供給。生産性を高める目的で使用。 |
高温高圧養生 | 強度発現促進 | オートクレープ養生。二次製品を造る場合。高温高圧を与えて強度発現を促進し、生産性を高める。 |