集中腐食

 港湾・海洋構造物の平均干潮面直下付近で発生する鋼の激しい局部腐食を「集中腐食」と呼ぶ。予想が難しく、腐食速度も極めて大きいので、維持管理上最も注意しなければならない腐食の形態である。

平均干潮面直下付近に集中腐食が認められる構造物は全体の約65%であり、鋼矢板と鋼管杭で差は認められない。

 港湾・海洋における鋼の腐食速度の標準値は、H.W.LL.W.L-1.0mにおいて0.10.3mm/年である。集中腐食が最も激しい構造物においては腐食速度が1mm/年を越えた事例もある。

 集中腐食の原因はまだ明らかになっていないが、一つの説として酸素濃淡電池の形成という考え方がある。平均海面付近は溶存酸素濃度が高く、平均干潮面直下付近は低い。このため平均海水面付近の鋼がカソード、平均干潮面直下付近がアノードとなってマクロセルが形成され、アノードから鉄イオンが溶出するため通常より激しい腐食が生じると考えられている。酸素濃淡によるマクロセル腐食を増大させる要因として河川水の混入が指摘されている。河川水が混入する河口付近では平均海面付近に溶存酸素濃度が大きい河川水が存在し、それより深い海水は溶存酸素濃度が低い。溶存酸素濃度の差異が大きいため集中腐食速度がより大きくなる。