コンクリート中の鉄筋は何故錆びるのか?

 鉄はアルカリ下では酸化しないはずなのに、強アルカリ性であるコンクリートの中の鉄筋は錆びる(
酸化)のでしょうか?
コンクリートのアルカリにより表面が不働態皮膜(被膜)(20〜60
オングストロームの酸化膜)で覆われるため鉄筋は腐食しないわけですが、コンクリートが中性化してくれば不働態皮膜は消失します。また塩化物イオンによって不働態皮膜は破壊されます。
不働態皮膜が無くなると鉄筋表面は活性態になり酸化しやすくなります。
 鉄がイオン化するアノード反応(酸化反応)と酸素が還元するカソード反応(還元反応)で腐食電池を形成し、この電気化学的反応により生じる水酸化第二鉄=Fe(OH)2が錆です。錆は体積膨張(2.5倍程)し、膨張圧によってコンクリートにひび割れ・はく離を生じさせます。

アノード反応:2Fe→2Fe2++4e-
カソード反応:O2+2H2O+4e- →4OH-
全反応:2Fe+O2+2H2O →2Fe(OH)2

 頑丈に見えますが、コンクリートは小さい孔(=細孔= 数nm〜数十μmで、
エントラップドエアーやエントレインドエアーとは違うもの)が多数ある”細孔構造”をしてます。水はコンクリート内に存在しますから、荒っぽい言い方ですが、酸素が細孔に侵入すれば鉄筋は錆びます(=酸素拡散支配による腐食。腐食電流から腐食を考える比抵抗支配もある)。

 優れた耐久性を持つとされる鉄筋コンクリートも、
鉄筋腐食により構造物の性能が損なわれます。打ち放しコンクリートが多い土木構造物は、外部物質の侵入を抑制する、浸入しても容易に移動させない、緻密なコンクリートにする必要があります。
加水された生コンはスカスカのコンクリートを造り出し、外部物質の浸入と移動を容易にします。また、コールドジョイントは外部物質の取り入れ口(
逆は漏水)になります。
土木技術者はコンクリート劣化要因に
施工不良があることを心しなければなりません。


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